ギガトン探究・後編




はじめまして (ギガトン関係です)

 メールボックスを開けた瞬間、そんな文字が目に飛び込んできたのは、7月末。  差出人は、れいかさんだった。掲示板に、あの書き込みをしていた人だ。私の書き込みを見て、メールをくれたんだ――感動しつつ、本文を読み進めた。
 れいかさんからのメールには、ギガトンのその後の消息が書かれていた。
 引退後、彼は、滋賀の牧場へ行き、和歌山の社長さんに引き取られ、草競馬に出走したり、地元のお祭りに出たりしていたという。草競馬では、応援に行ったれいかさんの眼前で、ぶっちぎりの優勝をはたしている。さすが元中央の準オープン馬である。





 その後、突然つま恋に移動し、さらにどこかへ移動し――行方不明になってしまったギガトンを、れいかさんは、競馬仲間の協力を得て探し当てたのである。
 本文を読み終えた私は、完全に星飛雄馬状態だった。

――俺は今、猛烈に感動している!――


 彼の現役時代、私は孤独だった。自分の他に、彼のファンはいなかった。少なくとも半径10km以内には。ときどき「ファンファーレ」誌の「あっぱれ倶楽部」とか、「サラブレ」誌の「ますざぶ」あたりでギガトンがネタにされている(イシノサンデーぬいぐるみのメンコから耳を取ってギガトンにするとか…)のを見ると、ちょっと嬉しくなったくらいなものだった。
 ところが、いたのである。私よりディープなギガトンのファンが、ちゃんと。
 ギガトンの消息がわかったという喜びと、同じギガトンのファンという稀少な仲間と出会えた喜び。
 かなり舞い上がって返信を書いたのを覚えている。
 れいかさんから、ギガトンの写真や彼の所属する乗馬クラブのパンフレットなどを送ってもらった。
 9月の3連休にギガトンに乗りに行くことに決めた。
 こうしてれいかさんに出会え、ギガトンに会いに行くきっかけにもなったホームページ「やまうちなうまが好き」の掲示板に、お礼と報告の書き込みをしようと思った。

 「やまうちなうまが好き」は、閉鎖していた。


next back top



inserted by FC2 system