俺は女だ!・12


宿屋



 年齢の近い独身女性同僚どうしの二人旅で、琴平に行ったときのことだ。
 東京オリンピックの頃には最新の施設だったと思しき宿屋に泊まった。
 従業員の皆さまも、昭和30年代にはお若かったであろう方が9割を占めていたが、全般に親切な人々だった。
 二泊目に、宿へ帰る列車が遅くなって、お風呂の時刻を過ぎてしまったのだが、電話で「帰りが遅れます」という連絡を入れておいたら、お風呂番のおじいさんは、お湯を落とさずに待っていてくれた。
 帰ってきた我々を出迎えたお風呂番のおじいさんは、同僚に向かって、
「本日、女性のお風呂は5階となっております。」
と言い、次にワタクシに向かって
「男性の方は、3階のお風呂を御使用ください。」
と案内してくれた。
「……ワタクシも女性です。」
と言うと、
ええっ?! 女性のお客様でしたか! 大変失礼いたしました。」
と、丁寧に謝っていただけた。

そして、

部屋に敷かれた布団が妙にくっついてる件

についての謎が解けた。



 

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