昨年4月に小さな町からその隣の隣の似たような小さな町に転勤し、無事に最初の年を越して間もなく、
同僚5名と焼肉を食いに行ったあと、近くのスナックに入った。
カウンターには、常連とおぼしき先客があった。
黒い革ジャンパーに、ツイードと黒革のツートンのハンチングでダンディにキメた、70歳台の紳士である。
「ををっ、好いたらしい殿方!」
と思い、アグレッシブに隣の席に陣取った。
会話は弾み、件の紳士もワタクシのことを気に入ってくださったようだ。
ワタクシのフケ専傾向をご存じの同僚たちは、大うけである。
「幾狭センセ、タイプだろ!」
「ド・ストライク!」
ワタクシも思わずサムズアップで応答。
1時間くらい、さしつさされつ飲みながら話し、ついに電話番号まで交換。
渡されたアドレス帳に、「○× △子(※本名)」
と書き込んだところで、紳士が叫んだ。
「あれっ?! あなた女性かい!?」
同僚ども、大爆笑。
その後、紳士とワタクシは、2人で向かいのスナックに移動。
紳士曰く
「いや〜、すまんすまん、アタマ(髪型)ばっか見てて気づかんかった!」
それ、小学校のころワタクシを男児と見間違えた友達のお母さんに必ず言われた……。
「それにほら、一緒に来たオトモダチみんな男性だし!」
それも、小学校のころワタクシを男児と見間違えた友達のお母さんに必ず言われた……。
ともあれ、さしつさされつ楽しく飲み直した後、もとのスナックに戻って仲間と合流したのであったが。
同僚どもが、この件は「幾狭センセーおもちかえり事件」として本年末の忘年会の「10大ニュース」に入れる、などと申しておるので、誰か止めてくれ。