俺は女だ!・21


タナボタ




同僚のコーディネーター嬢(仮名・ワタクシより一つ年上・独身女性)と2人で日本最北端のオッカナイ市(仮名)に遊びにいった。

開基百年記念塔の上から街や海や丘陵の眺めを堪能し、階下で郷土資料の展示物を興味深く拝見した。

帰りがけ、休憩コーナーのテーブルにアンケート用紙があったので記入した。
アンケート用紙には性別欄があり、「1, 男性 2,女性」のいずれかに丸をつける様式だった。
ワタクシは普段、どちらにも丸をつけずにスルーすることが多いのだが、この日はなんとなく「3, その他」と自分で勝手に書き加えてそこに丸をつけた。
それを見たコーディネーター嬢は、指さして笑っていた。

その場にあった回収箱にアンケートを投函したら、コーディネーター嬢が七夕期間中で飾り付けてある笹につるすための短冊を発見して持ってきてくれたので、願いごとも書いた。
コーディネーター嬢は達筆でさらさら書いたが、ワタクシは「世界平和」と書くはずが「世界征服」と書きそうになって無理やり直したのでちょっと手間取った。

コーディネーター嬢が短冊を書き終えると、2人いた受付のおじいさんのうちの1人が彼女の方へ近寄ってきてペコちゃんのロリポップを差し出した。

「短冊を書いてくださった方には、飴をさしあげているんです。おひとつどうぞ。」

コーディネーター嬢が礼を言ってロリポップを受け取ると、受付のおじいさんは袋からもう1本取り出し、彼女に差し出して微笑んだ。

旦那様にも、おひとつどうぞ。」

コーディネーター嬢の隣でまだ短冊と格闘していたワタクシは盛大にずっこけてテーブルで額を打ち、コーディネーター嬢は笑いをこらえて震える声で訂正した。

「いえ、あの、こちらも女性なんです。」

「ええっ!? そちらも女性でしたか!! たいへん申し訳ございませんでした!!」

恐縮してお詫びするおじいさんに、ワタクシは

「いえいえ、よくあることですので、お気になさらず。」

とフォローなんだかよくわからない言葉をかけたが、おじいさんは

「お詫びにもうひとつ飴をどうぞ。」

と言って、ワタクシとコーディネータ嬢それぞれにもう1本ずつ、ペコちゃんのロリポップをくれた。




 

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